ロボットが配達業務を実施しています。
一部の国や地域で実際に実環境での運用が開始されています。
サービスにはいろいろなものがあり、届けるものは郵便物だったりフードデリバリーだったりします。
日本でも2023年4月以降は、人が遠隔監視する自動運転の配送ロボットが公道を走れるようになっています。
これは従来は実現できなかったのですが、改正道路交通法の施行に伴い実現可能となっています。
いろいろな業界が人手不足の状況ですので、こういった取り組みが進むことはよいことに思えます。
しかし、少し気になるニュースがあがっています。
米国でサービスを実施しているロボット配送の一つに、サーブ・ロボティクス社があります。
同社は本社をカリフォルニア州ロサンゼルスに置き、同社製造の自律走行型配達ロボットをウーバーテクノロジーズに提供する業務提携を締結したと2023年5月に発表しています。
この取り組みが進んでいくと、この配達業務で2000台規模のロボットが稼働を開始することになります。
ロボット配達、便利ですから広がってくと良いと思います。
しかし、そのためには乗り越えなければならない課題がありそうです。
その一つは、安全性です。
ロボットは、誰かから誰かに届ける荷物を運んでいます。
この荷物が盗まれないように、安全を確保する必要があります。
また、配達で使用されるロボットは高価なものですので、ロボットそのものが盗まれるということも考える必要がありそうです。
この脅威にどう対処していくことになるでしょうか。
その対策の一つが、ロボットへのカメラの搭載でした。
カメラで取得した映像は、記録されます。
そしてサービス会社の手配する監視センターで、監視業務が行われます。
この取り組みそのものが安全性の向上につながると期待できますし、そういった監視が行われているということが知られることは抑止力にもなると期待できます。
しかし、このカメラの効能はこれだけに留まりませんでした。
犯罪捜査のために、ロサンゼルス市警察に対してロボットで撮影した動画が提供されたということです。
確認されている一つの事例では、この事件はこの映像が効果を発揮し、容疑者は逮捕に至っています。
似た動きになりつつあると思えるものに、浸透が進んでいる車に搭載されるドライブレコーダーの映像もあります。
こういった情報も、同じ動きになることが考えられます。
これは、どう解釈することができるでしょうか。
配達業務の安全のために映像が記録される、運転者の安全のために映像が記録される、これは多くの人が許容できる用途に思えます。
しかし、直接的なその用途以外の目的でも、その映像が利用されるとすると、いかがでしょうか。
いろいろな見解があることと思いますが、敏感になる内容に思えます。
国や地域によっては、街角に多くの監視カメラが設置され、公的組織による監視が実施されています。
これは安全を提供するものとして実施されていますが、見方を変えれば、公的組織によるプライバシーの侵害とも取れます。
個人が特定され活動がトレースされているとすると、不安にもなります。
こういった公的組織による監視カメラに加えて、今回のような民間のサービスに関連する多くのロボットが取得する映像も同じように利用できると考えると、この不安はより大きなものとなります。
増え続ける動く目と、すでに存在する静止した目とが組み合わさりプライバシーの脅威となっている、とみることもできる事象に思えます。
安全確保とプライバシー確保のバランスの実現、難しい課題に思えます。
参考記事(外部リンク):Food Delivery Robots Are Feeding Camera Footage to the LAPD,
Internal Emails Show
www.404media.co/serve-food-delivery-robots-are-feeding-camera-footage-to-the-lapd-internal-emails-show/
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