Braveの新機能「Email Aliases」:サーバサイド追跡を断つプライバシー保護の進化

Brave は、ユーザのプライバシー保護と高いセキュリティ性能を最優先に設計されたChromiumベースのオープンソースWebブラウザです。
強力なトラッカー遮断機能「Brave Shields」を標準搭載しており、サードパーティクッキーや各種トラッキングスクリプトをデフォルトでブロックすることで、快適で安全なブラウジング体験を提供しています。

2026年8月27日、Brave Software社はデスクトップ版バージョン1.94より、新機能「Email Aliases(メールエイリアス)」の提供を開始したと発表しました。
この機能は、これまでブラウザレベルの保護措置を潜り抜けていた「電子メールアドレスを介したサイト横断トラッキング」および「データ侵害リスク」を解消することを目的としています。
本アップデートにおける重要ポイントをみてみましょう。

  • メールアドレスによる「サーバサイド照合」への対策
    従来、Webブラウザ側の保護(クッキーや各種キャッシュのパーティショニング)を徹底していても、ユーザがWebサイトの会員登録等で入力した本メールアドレスは、事業者側のサーバーに保存されていました。
    広告プラットフォーム(Google, Meta, LinkedInなど)のサーバサイド顧客照合ツールにこのアドレスが提供されると、ブラウザ外(サーバ間)で個人が特定・追跡されてしまうというプライバシー上の不抜け道(プライバシーホール)が存在していました。
    「Email Aliases」は、Webサイトの入力フォーム上でランダムな転送用エイリアスアドレスを直接生成・入力できる機能です。
    これにより、外部サイトに本アドレスが渡るのを防ぎ、追跡の鎖(クロスサイトトラッキング)を完全に断ち切ります。
  • 暗号化プロトコル「OPAQUE」を採用した認証基盤
    本機能の利用に必要な「Brave Accounts(※有料サービス用のBrave Premiumアカウントとは別のアカウント)」の認証基盤には、国際標準(RFC 9807)として標準化が進められたOPAQUEプロトコル(パスワード認証鍵共有プロトコル)が導入されています。
    • パスワードやそのハッシュ値がBraveのサーバに送信されない仕組みとなっています。
    • サーバ側でのログ記録漏洩やメモリ解析、漏洩データベースによる総当たり攻撃(バルク・クラッキング)に対する高い耐性を実現しています。
  • 最小限のデータ保持と徹底したデータ暗号化
    メール転送サービスを運用するにあたり、ユーザデータやメッセージ内容の取り扱いにおいて高度なプライバシー設計がなされています。
    • 保管データの暗号化: アカウントに紐づく本アドレスおよび生成されたエイリアスは、サーバ上で暗号化して保管されます(Data at Rest Encryption)。
    • メール本文の自動削除: 自動スパム・ウイルスフィルター処理を除き、Brave側がメール本文の内容を閲覧・解析することはありません。転送完了後、メッセージは数秒以内にサーバから完全に削除されます。
    • メモ機能のエンドツーエンド暗号化: 各エイリアスに付けたメモ(用途などの記録)はローカル端末に保存され、Brave Syncを利用した端末間同期を行う場合もエンドツーエンド暗号化(E2EE)されるため、Brave社自身も閲覧できません。
  • 段階的な提供フェーズと仕様制限
    初期リリース時点の仕様は以下の通りです。
    • デスクトップ版(v1.94以降)で利用可能。
    • 無料アカウント1つにつき、最大5つまでのメールエイリアスを生成可能。
    • 今後、モバイル版への展開および上限制限のない有料の「Premiumバージョン」の提供が予定されています。
  • 導入初期における運用上の留意点
    サービス開始初期においては、Braveからの転送メールが宛先メールサービスの迷惑メール(スパム)フォルダに分類されるリスクが挙げられています。
    これは送信元ドメインとしての信用スコア(レピュテーション)を構築中の段階であるためで、ユーザには迷惑メール解除(Not Spam)操作への協力を呼びかけています。

今回導入された「Email Aliases」は、従来ブラウザ単体では防御が難しかった「サーバサイドでの電子メールアドレス照合によるプライバシー追跡」をブラウザ機能の延長として直接遮断する画期的なアプローチです。
認証基盤にゼロ知識証明アプローチに近い「OPAQUE」を採用し、転送後のメール本文を即座に破棄する運用設計を行うなど、「プライバシーバイデザイン(設計段階からのプライバシー確保)」の思想が徹底されています。
万が一登録先のWebサイトからデータが流出した場合でも、該当エイリアスを無効化するだけで二次被害(フィッシングやスパム)を最小限に防ぐことができるため、個人の情報セキュリティ向上に大きく寄与する新機能と言えます。
サイバーセキュリティの領域では攻撃側が有利に見えるイタチごっこになるケースが多く見られますが、このアップデートは、守る側の防御手法を進化させる前向きな最新動向の知見として注目です。

Brave launches Email Aliases to keep your personal email address private from websites
https://brave.com/privacy-updates/39-email-aliases/

一緒によく読まれている記事

最新の脅威情報
をお届け

BLOGブログ

情報セキュリティに対する啓蒙のため、
3つのメディアを運用し、
情報発信を行っています。

わたしたちはサイバー領域や
認知領域の未知なる脅威に、
テクノロジーとインテリジェンスで対抗します。

私たちが選ばれる理由

CONTACT リスクマネジメントサービスの
ご相談窓口

コンステラ セキュリティ ジャパンは
最先端のサービスを
お客様のニーズに
カスタマイズして提供し、
効果が出るまで寄り添います。